
「まんが日本昔ばなし」から”河童“にまつわる民話の一つ、「河童の雨乞い」のご紹介!
あらすじ
昔、森の中に小さな村がありました。その森に中に古い沼があり、一匹の河童が住んでいました。
その河童、畑を荒らすわ、人を沼に引き摺り込むわで、村人達は大いに閉口していました。
そこにやってきたのは旅の坊さん。
「河童、河童ーー
河童ーーーーーーーーーーーー!!!」
と、大声で呼ぶので脅かしてやろうとバシャっと飛び出しても、坊さんは笑顔のままです。
「お前さんは相当悪いことばっかりしてるそうじゃノォ。一体なにが気に入らんで、そう悪いことばっかりしておるんじゃァ?」
坊さんは河童に恐れる様子もなく、聞いてきました。よし、それならばと河童は坊さんに日頃の鬱憤を晴らしてやるかと思い、話し始めました。
「ワシァノォ。河童の身の上が辛いのよ。
こんな姿で生まれたお陰で人間の仲間に入れてもらえず、そうかといって魚や亀の仲間でもねえ。
なんとも不甲斐ない思いで毎日暮らしてるのよ。だからヤケクソになって暴れ回ってるのよ!」
坊さんは納得した様です。
「ふぅん。だがよォ、オメェの今の身の上は前世の因果とも関係のあることじゃぞ。
このまま悪いことを重ねていると次に生まれてくる時はもっと酷い姿で生まれてくるとも限らない」
「だがのぉ和尚。人間に生まれ変わるにはどうしたらいいんだ?」
「お前さんが生きている間に人のためになることをすることだ」そう言って諭すと、坊さんは帰って行きました。
河童は神妙な顔をして坊さんを見送りました。今までのことを悔い改める様に。
____
それから月日は経ち、村では日照りが続いて作物が枯れ、井戸の水もなくなりました。
村人達は朝から晩まで雨乞いをしましたが、降る気配一向に無し。
その頃、なにを思ったか例の河童が沼を出て村の方にやってきました!
…
「か、河童じゃあ」
村人達は河童を見るや否や、鎌や棒でめったうち。だが、河童は全く抵抗しません。最終的に河童は縄に縛られて、放り出されました。河童が顔を上げると、「自分にも雨乞いをさせてくれ」と、頼みました。村人達はまた悪さをするでねえかと心配したが、他に道もなく、藁にもすがる思いで縛ったまま河童を櫓にあげました。
「神様お願げえですだ、オラの頼みを聞いてケロ オラァ今まで散々悪りぃばかりしてきた。村の衆にも迷惑かけてきただ。
だが、どうじゃろかオラの命と引き換えに村に雨を降らせてはくださらんかぁ!!
村に雨を降らせてくんろーーーー!」
訛りすぎw 河童は改心しました。自分を犠牲にして村人の命を救う様に神様に頼み、飲まず食わずで何日も何日も雨乞いしました。
その思いが通じたのか、村人達も河童と一緒に祈り始めました。
と、やがて雨雲が立ち込め、大粒の雨がぽつりぽつり。
祈りは通じました。
村人が河童に伝えようと櫓に上がった時、
河童は息絶えていました。
____
夏が終わり坊さんがまたやってきました。
(そうか)
雨乞いをした河童の話を聞くと、「河童は人間になりたかった」思いを村人に話しました。
「きっと人間の姿になって生まれ変わる」村人そう思い、はいつまでも河童の雨乞いの話を語り継ぎました。
感想
“河童”という前世からの業を背負った生き物が悔い改めて”徳を積んだ“お話。
この話は河童とは”犯罪者“の暗喩だとする説もあります。
その後河童は生まれ変わり、幸せに暮らしたのでしょう。