
今回はグリム童話の中でも過激なお話
「千匹皮」を綴っていきます(原文ベース)
あらすじ
むかしむかし、ある所にとても美しい王妃を持つ国王様がいました。所が、ある日王妃は病に倒れてしまいます。
「あなた、私は美しい?」
「ああ。君ほど美しい女はいないであろう」
「まあ嬉しい。
私と同じ位、いえ、それ以上に美しい人でなければ再婚してはいけませんよ。フフ、そんな人いるのかしらね
あなた 愛していますわ」
王妃は微笑みながら息を引き取りました。国王は慟哭して王妃の腕を握った。死して尚ゾッとする程美しい王妃の亡骸。臣下達は思いました。
(これは再婚相手のハードルが高そうだ…)
数年間、王妃に匹敵する様な美貌を持つ女性など見つかる筈もなく再婚を断り続けた国王。
矢張り_____、
目を向けたのは王妃の忘形見であった実の娘。輝く様な金髪、透き通る白い肌、美しく魅力的な容姿。娘は成長するにつれて、ますます王妃に似てきました。
「お前はなんと美しい。まるで母さんを見ている様だよ」
「まあ嬉しい。…お父様。では、私はこれで」
そう言って娘は自分の部屋に戻っていきました。_____老臣が国王に言いました。
「国王陛下。王女様は本当にお美しい。まるで、在りし日の王妃様を見ている様ですな」
「ウム…。」_____
娘のことを思い浮かべるその目は「娘を見る目」ではありませんでした。其れは人間の奥深く、生まれ持った情欲。決して、「親子として」それ以上踏み入れてはいけない絶対領域。
「_____ワシはするぞ。妃よ。
お前の様に美しい女性と」
自らの止め処ない心内を告白すると、家来達は異口同音に反対しました。
「国王陛下。女王様は実の娘です、何卒ご再考を!」
「ええいっ、うるさいっ。お前達がなんと言おうとワシはもう決めた。ワシは娘と結婚する。だって、かわいいもん😍」
完全に娘にゾッコンでした。こうして国王は娘と結婚する事にしました。
部屋からは溜息が漏れた。
「…はぁ」
娘は気付いていたのです。最近父が自分を舐め回す様に見ている事に。
「どうしようかしら。このままじゃ私お父さんに貞操を奪われちゃうわ…あっそうだわ」
娘は父に「婚礼用のドレス、千種類の動物の皮で作ったコートがなければ結婚しない」と、父に難題を押し付けました。
が、父は国中から職人を集めてコートを完成させてしまったのです。
「うぅ〜( ; ; )」最早これまで。
最終手段!娘は体に炭を塗りたくり、ドレスと母の形見である金の指輪、香辛料を持ち、千匹皮のコートをまとって、城から逃げ出したのです。
ざっ、ざっ 森を彷徨う異様な姿をした彼女はとても王女には見えませんでした。
「なにやつ」
森の猟師に動物と間違えられて捕らえられました。
「待って、私は人よ! 」
「怪しいやつめ。城に連れて行ってやる」
こうして城に連れて行かれた娘は千匹皮という名前で呼ばれ、下働きをする事になります。
ある日、城の中で舞踏会が開かれました。
(私も見にいきたいわ)
娘は炭を落とし、持っていたドレスで綺麗に着飾って舞踏会を見に行きました。
(素敵な人はいるかしら…)
きょろきょろと辺りを見回す娘。
国王(父)は突然現れた美しい女性に気づきます。
ドキーーーーン😍
「なんだ、あの美しさ!まるで王妃を見ているようだ」
声を掛けようとした時、娘は既に立ち去り、千匹皮のコートに着替えていました。
その後も国王は何度か娘を探しますが、見つかりませんでした。
そして三度目の舞踏会。
王女はまた国王から逃げ出し、千匹皮に着替えるも、炭を指に塗るのを忘れていました。
「待て」
国王が呼び止めました。
「なんでしょう」
「お前は我が娘だな」
「いえ、人違いでしょう」
「いや、その声、その白い指先は間違いない。」
国王は千匹皮を剥がしました。
すると、黄金の髪が露わになりました。
国王は娘の腕をギュッと握り、目を見て言いました。
「もう、行かないでくれ
妃よ」
あなたは
まるで、変わってないのね_________娘は微笑みました
その姿はとても王妃に似ていました。
違うお話
このグリム童話は「近親相姦」がモチーフになっているため、児童書には記載されていない事が多く、父親とは別の男性と結婚するというシナリオに変えられている事も多い。
どちらかというと”タブー色“が強いこの作品。
だけど、「国王の王妃(娘)に対して変わらぬ愛」という捉え方も出来る。