
最も有名な異類婚姻譚(人間以外と恋をする)、童話「美女と野獣」について綴っていきます!
(最初に書かれたヴィルヌーヴ夫人版をベースに)
あらすじ
商人には三人の息子と三人の娘がいました。元々はお金持ちでしたが、船が難破して、残ったのは家だけ。
息子と三女は一生懸命働きますが、二人の姉は怠けているばかりニート。グリム童話あるあるの意地悪な姉と勤勉な妹。
商人は三女の「ラ・ベル(美人という一般名詞)」に尋ねます。“美人”凄い名前だな😅。
「少し家を留守にする。何か欲しいものはあるか?」
「薔薇が欲しいですわ。お父様」
「分かった」
父は出かけ、ベルは家の掃除を始めました。「汚いわねえ」姉達の小言がぽつり。
野獣との出会い
仕事が終わり、くたくたになった商人は帰り道にとても大きな屋敷を見つけました。マヨイガ。…好奇心には勝てない。
屋敷の中に入ってみました。中には誰もいません。然し、不思議な事に温かいご馳走が用意されていました。商人は食欲に勝てず、たらふく食べ、そのまま寝てしまいました。
「ああ、いかん」
翌朝ハッと起き上がり、庭にある薔薇をちぎりました。
その時!
恐ろしい唸り声を上げて、恐ろしい野獣が現れました。
「おい、お前!疲れていると思ってもてなしてやったのに薔薇を盗むとは何という仕打ちだ!」…御もっとも。
「ひええ、お許しを。この薔薇は娘に頼まれたのです」
「娘…?よし、ならばお前の命か、娘の命を差し出せば許してやる」
そう言って、野獣は牙を剥き出し、爪を鳴らしています。
「わかりました」そう言って商人は一目散で家に帰りました。
美女と野獣
商人は家族にこの事を話しました。息子は「野獣を倒しにいく」と言っていましたが、とても太刀打ち出来るようには思えません。二人の姉は野獣の話を聞いただけで、逃げ出しました。
ベルは「私が身代わりになる」と言いました。父は止めましたが、ベルは聞き耳を持たず、屋敷に向かいました。
野獣はベルを優しく向かい入れ、一緒に暮らしました。見た目は怖いが、心は優しい野獣。野獣は気立ての良いベルを気に入り結婚を申し込みます。
「…嫌」
それがベルの返事でした。
あなたは
屋敷で暮らすベルに、「父が病に伏せってしまった」という知らせが届きます。
「一週間だけ、私を家に帰らせてください」
野獣はなくなく、許可しました。
こうして、家に帰ったベル。娘の顔を見た商人は元気を取り戻しました。
「まぁ、ベル」
声をかけてきたのは二人の姉。
「ゆっくりしていきなさい」と、言ってベルを帰してくれませんでした。酷い!
一週間が過ぎた夜、ベルは夢を見ました。
それは野獣が死にかけている恐ろしい夢でした。ベルはすぐに起き上がり、屋敷に戻ろうとしました。
「どこに行くの、ベル」
二人の姉が、ベルの手をギュッと掴みました。
「お姉さま、行かせてください」
「ダメよ、あなたはここにいるの。…あなた獣臭いわよ、あんな醜い物は放っておいたら、どう?」薄笑いを浮かべる二人の姉。
「…本当に醜いのは、あなた達よ」そう言って、ベルは姉の手を振り払いました。
___
屋敷に戻ったベルは、瀕死の状態の野獣と再会します。「死なないで」
ベルは泉水を汲んで野獣にかけました。
野獣は息も絶え絶えになりながら、ベルの頬を撫でて、最後に言いました。
「お前だけだよ。俺に優しくしてくれたのは…これで幸せに死ねる」
___嫌
「嫌です、そんな言葉。愛しています…本当は私から言いたかったの。
だってあなたは私の夫になる人だから」
野獣は本来の姿に戻りました。
感想
グリム童話の中でも有名な話、「美女と野獣」ディズニーのアニメ映画としても有名です。
「醜い野獣と美しい美女の“心からの愛”」
とても好きなお話です。
- 疑問点
本当に蛇足ですが、「野獣がなぜ瀕死になっているのか」原作では特に説明もなく、不明です。
また、ボーモン版(二つの目の原作)では王子を野獣に変えた魔女が登場したり、二人の姉が石に変えられたりしています。
何故野獣になった?
ディズニー版では、「王子が“本当の美しさ”に気付かず、わがままで自惚れていたから」野獣になったという描かれ方。