
今回はローマ皇帝の中で暗い、頭のおかしい王様を偏見と独断でランキングにしました。
東(ビザンツ帝国)は含みません。
七位 コンモドゥス

五賢帝の流れを潰した男
「コンモドゥス」
12代皇帝「ネルヴァ」からコンモドゥスの父「マルクス・アウレリウス」まで続いた名君リレー(五賢帝)の流れを潰した男。
典型的な暗君で、戦争中であるにも関わらず父が死んだ途端に兵を引かせ、政治よりも闘技場に入り浸り、戦士として戦っていた。
国政を顧みず自身の享楽に耽るその有り様は、父の苦悩など何一つ理解していなかったといえる。
六位 ネロ

こっちでは無いッ!

恐らく最も有名な「暴君」
「ネロ」
やった事、基悪行と云えば義弟と母を殺し、ローマの大火をキリスト教に擦り付け弾圧し、大火の後に豪華な宮殿を建築した。
最後は“ローマの敵”と見做され反乱を起こされ自殺する。
確かにろくな事はしていないが、芸術好きで、今で言うコンサートのような物も沢山開き(どんなに退屈であろうや途中で外に出る事は禁止であったが)、民衆からの人気は低くはなかった。
最初の五年は師であるセネカなど有能な人の助けもあってまともな政治をしていたが、突然吹っ切れたネロはセネカに自殺を命じて、暴君と化してしまった。
しかし、大火の後の処置は非常に適切でローマの街並みは一変した(木造建築からローマンコンクリートを普及)
光もある分、その影が強すぎる男というイメージ。また、キリスト教を弾圧した最初の人物であると言うことも後世の悪評に一役買っている。
五位 カリグラ

小さな軍靴さん
「カリグラ(カリギュラとも)」
カリグラの父ゲルマニクスは名高い軍人であり、人気がイマイチなかった先代(ティベリウス) と比べても、若くイケメンということで人気があり、ローマ市民は熱く迎え入れたが、その熱狂は絶望に変わった。
カリグラは期待に応えるように金をばら撒いたが病に倒れてしまう(一説によると飲酒とセックスのやりすぎ)
それ以降のカリグラは人が変わったように荒れてしまった。
何を思ったか忠実な人間を崖から突き落とし、妻を追い出し、養父や従弟に自殺を命じ、自分の気に食わない人間をどんどん殺していった。
また、自分自身を神と称し、経済難にも関わらず建設事業に浪費。ローマの財政を大いに疲弊させる。
こうした行いが元老院の反感を買い、最終的には自身が信頼していた近衛隊長ケレアによって暗殺される。皇帝に即位して僅か4年であった。
その評は
政治も全く分かっていなかった若造
初代皇帝オクタヴィアヌスの血を引き、父親の人気も高く、前任者は不人気、そして何より若くイケメン。
”前評判の高さ“からの”政策に対しての失望“
という点では歴史上の人物でもトップクラスの落差と言える。
四位 テオドシウス一世

キリスト教の保護者
「テオドシウス一世」
余り有名ではないだろう。
この人の行った事、其れは、キリスト教の国教化。
ローマにある神々の像や神殿などは徹底的に破壊。キリスト教以外を信じる者を悉く罰した。
ローマ帝国が築き上げた偉大な建築物などを破壊し尽くし、“キリスト教徒”にローマを捧げてしまった人。
キリスト教世界では”大帝“とされる程にキリスト教を保護したが、”ローマ帝国“の目線からしたら、やった事は決して擁護は出来ない。
三位 ヘリオガバルス

男の娘皇帝 「ヘリオガバルス」
暴君「カラカラ」血を引く、14歳の美少年は母親の策謀によって皇帝に即位。
ローマ市民の前に現れた時は女装姿を披露して市民達を困惑させる。
ヘリオガバルスはその後も変態的な行為が目立つ。
- 女風呂を覗き込む
- ペニスのデカい男を探して切り落としては猛獣に食べさせる
- 男娼として売春をする
- 宮殿を売春宿にする(自らが客に奉仕)
- 奴隷の妻(♂)になる
- 夫からのDVに興奮する
エトセトラ、エトセトラ
とにかく、変態エピソードが沢山残っている
こんな行為が許される訳もなく、最後は近衛兵によって暗殺されている。
(男も女もなんでもイケるストライクゾーンの広さ、ある意味羨ましいですね…)
彼の、いや、彼女と云うべきか(?)、その経歴はローマ皇帝の歴史の中でも極めて”異質“と云える。皇帝としては何の役割も果たしておらず、ただ只管自身の変態性癖を満たすためだけにその権力を使った事は“暗君”という言葉すら生温い。
でも正直性的倒錯っぷりは嫌いじゃない。
二位 ホノリウス

ローマより鶏が大事
「ホノリウス」
テオドシウス1世の息子としてローマ皇帝になった男
だが、“ローマに対しての何の関心も持っていなかった”
政治には全く関与せず、讒言を信じて名将スティリコを始め有能な人材を殺害。
ローマが奪われた際には「なに?!僕の鶏(ローマ)が?!」と言い放ったというとんでも無いエピソードも作られた男。
真意は不明だがこの話が作られる程に愚かだった。
「ローマ皇帝 暗君」でGoogle検索したら一番最初に出てくる男。

一位 カラカラ

大浴場と大虐殺。KING・OF・THE「暴君」
「カラカラ」
堂々の第一位は「カラカラ」!
即位直後に弟「ゲタ」を殺し、その一派も尽く粛清。
「アントニヌス勅法」を制定して、ローマに住む全員に市民権を与えた(これが財政難の要因に一つとなる)
他に軍事費や、建築費で財政を浪費。その中でも極め付けが大浴場の建設。
通称「カラカラ浴場」
財政難に陥った時は銀貨を改鋳して質を落とし、流通量を増やしてインフレを起こす。
性格も非常に残忍かつ、冷徹。気に食わない人間は躊躇なく殺し、自身をアレクサンドロス大王の生まれ変わりと称してアレクサンドリアに遠征して多数の市民を大虐殺。
最後は立ち小便をしている最中に兵士に殺された。
行った政策はその後もローマの財政を圧迫させ、市民にも、兵士にも人気が無く、後世の歴史家「デボン」はカラカラを
「人類共通の敵」と評している
番外編
暴君か、微妙な人たち(評価が難しい)
- ドミティアヌス
弟と比べて人気がなく、財政を圧迫した。
記録の一部は抜け落ちたとされ、評価が悪いのは元老院に嫌われていた事が一番の要因。
- ディディウス・ユリアヌス
お金でローマ皇帝を買った人。
信用を得られず、暗殺。
そこまで悪い人ではないが、良くもない。