日本昔話「神さまの年定め」のご紹介
あらすじ
昔、「寿命がなかった頃」の話です。
神様が生き物達の寿命を定めることに。
まず、馬を呼びました。
「馬よ、お前に30年の寿命をくれてやる」
「お言葉ですが、神様。人間にこき使われて重い荷物を運ぶ仕事を30年もやりたくはありません」
「わかった」
馬の寿命は「20年」になりました。
次に呼ばれたのは「犬」
「犬よ、お前に30年の寿命をくれたやる」
「いえ、神様。御免被ります。人間達の食料を見張るために毎日寝不足なのです。そんな暮らしを30年もしたくはありません」
「分かった」
犬の寿命は「10年」になりました。
「やったあ」
馬と犬達はこれで苦しまなくて済むと大喜びしました。
そして、最後にやってきたのは人間。
「人間よ、お前に30年の命をくれてやろう」
人間はキッパリと断った!
「神様、30年なんて短すぎます! 長生きしてながーく暮らしたい」
「ならば、馬から引いた10年を足して40年でどうだ」
「全然足りません!もっともっと!」
「ならば、犬から引いた20年も足してやる」
「厭だ、もっともっと、100でも200でも生きて、楽しく暮らすんだーー」
「なんと欲深い」
神様はそう嘆いて、人間に60歳の寿命をあげました。
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人間は30を過ぎると重荷を背負い、40を過ぎると夜も眠れず、じわじわと老いて苦しんでのであった。
(…こんな筈じゃ)
感想
「生老病死」仏教では”四苦“とされている事柄。
人は長生きすればする程問題も増えていきます。それに対して動物たちはポックリと逝ってしまう苦しみがない。
(動物をこき使う人間に対しての戒めとも言える昔話)
また、この昔話はグリム童話にも似たお話があり、そちらがモデルだと思われます。
人間の欲深さと、老いることの苦しみについて考えさせられますね😭