
太宰治著/お伽草紙「浦島太郎」を紹介していきます!
太宰治が「浦島太郎」を書いたらこうなった!
むかしむかし うらしまはー
浦島太郎と言えば「桃太郎」「金太郎」に並ぶ三大太郎。
原典は「丹後国風土記逸文」
- ストーリー
「亀を助けた浦島太郎が竜宮城に連行され、乙姫さまに貰った玉手箱を開けて老ける」
かなり端折ったが、大体こんなストーリー。
その最後は中々衝撃的。
太宰治はどう解釈したのか…?!
太宰風 浦島太郎
浦島太郎は若干斜に構えた風流人として書かれている。
「人は、なぜお互いを批評し合わなければ、生きては行けないのだろう。」
世俗に対してため息を吐く、意識高い系浦島。
浦島は例の如く、いじめられている亀がいたので助けた。
この例の亀、中々口が達者なのだ。
「何だお前。こないだ助けてやった亀ではないか。まだ、こんなところに、うろついていたのか」
カメはえへへ、😃と不敵に笑った
🐢「せっかく助けてやったは恐れいる😅 あなたが私を助けてくれたのは亀だからだ。そして相手は子供だった。
それがどうです?荒くれた漁師が病気の乞食をいじめていたとしたら、あなたは、見て見ぬ振りをしたんでしょうねっ‼︎」
何という捻くれたカメなのでしょう‼︎でも、このひょうきんで、尚且つ毒舌なカメがだんだんと癖になってくるのです!!
カメはなんやかんやいいつつも、浦島の事が好きな様で、竜宮城に連れて行きます。
竜宮の世界
竜宮城は静寂に包まれた、幽玄な雰囲気。
ここで、またカメが軽口を叩く!
🐢「しっかりしてくれ、若旦那。
まさか、馬鹿騒ぎを年中やっているのが竜宮だと陳腐な空想をしていたんじゃねえのか。あわれなものだ😅
幽邃の美。
この美しさがわからないとは…(^_^;)」
竜宮に着いたら、一段と凄くなる毒舌カメ‼︎
「とほほ…」
浦島も心細くなる始末!
“🐢” なんなんだコイツはっ!?
その後 浦島はカメに連れられ、乙姫様の元に。
乙姫様の外見は装飾もせず、ただ薄布を靡かせているばかり。ふつくしい。
乙姫様は廃墟の様な大広場に一人で佇んでいるのです。
浦島は乙姫さまは一人で孤独ではないのかと亀に訪ねた。
あのかたは、何も孤独じゃありませんよ。平気なものです。野心があるから、孤独なんて事を気に病むので、他の世界の事なんかてんで問題にしてなかったら、百年ひとりでいたって楽なものです。それこそ、れいの批評が気にならない者にとってはね。
何も、飾りつけず、何も、囚われない。
本当の“美しさ“とはこの竜宮城の様な物だと、太宰は思ったのかもしれませんね。
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暫く浦島は竜宮城でのんびりしていた。赦されていたのだ。
が、陸上の貧しい生活が恋しくなった。
他人の批評を気にして、泣き笑い、こそこそ暮らしている陸上の人たちが。
浦島は乙姫様に「さようなら」と言って、帰ることに。乙姫様は”れいのお土産“を渡して浦島を見送った。
乙姫様は幽かな笑みを絶やさず、浦島の全てを赦した。
散々毒を吐いたカメも、浦島と別れたくはなかったみたいで、元気がなくしょんぼりとしていた。
カメは最後に浦島に言った。
「そのお土産は見ない方がいいかもしれません。陸上の汚い世界で開けたらロクな事にならないでしょう。」
「そうかも知れないね。これは、家の宝として保存して置くことにしよう。」
こうして、カメと別れた。
あけてみた
陸上の世界は、
変わっていた。
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浦島は、「あけてはならぬ」
パンドラの匣を開けてしまったのです。
あけてみた結果は、皆さんご存知でしょう。
ここで、浦島太郎の物語はおしまい。
だけど、浦島太郎の物語の何処にも、その最後が”不幸“であったとは書いてはいないのです。
それは浦島太郎にとって、最後に残った
「希望」だったのかも知れませんね…🤔
太宰治「お伽草紙.浦島太郎」
面白いので是非一読を!