【落語】_夢と努力_「芝浜」【人情噺】

今回は落語「芝浜」についてのご紹介!

あらすじ

天秤棒一本で行商をしている魚屋の勝は腕はいいが、酒が好きでいつも失敗ばかりしていました。貧乏暮らしで妻にもうだつがあがりません。

今日も早朝から魚の仕入れのために魚市場に。しかし、まだ市場は開いていません。

海を見ながら煙管を吹かしていると、革の財布を見つけました。中に入っていた大金!!

勝は大喜びで家に帰宅。早速飲み仲間を集めて大酒を呑む!

酔い潰れた勝はそのまま寝てしまいます。

翌日、妻はかんかんに怒っていました。

「こんなに酒を買って!支払いはどうするの!」

「大丈夫だ。財布には金がたんまりとある」

そう言って、財布を見せようとしました。

____? あれ?

どこにもありません。

「財布なんて何処にもないですよ!きっと夢でも見てたんでしょう。

それよりも早くお酒の代金を支払って頂戴!」

勝は唖然。確かに財布はどこにもありません。勝は夢だと認めました。そして、このままではいけないと思い、酒を絶って一生懸命に働きました。

三年後には稼ぎも安定して、店を構える事もできました。そして、勝は今まで苦労を掛けた妻に頭を下げました。すると、妻が三年前の話をしました。

「三年前の夢の話。覚えている?」

「嗚呼、財布を拾った夢か。昨日のことの様に覚えている。あれは今でも本当に夢なのかと疑うくらいだ」

____
 

「あれ 夢じゃないですよ」

 

  

 

 

!?

「え」

妻は真相を話しました。

「確かに、あの財布を拾ったことは夢ではありません。

でも、あの財布を拾った事が役所に知られれば、首が飛んでいたでしょう。だから直ぐに役所に届けました」

「…成程」

勝は大きく頷きました。

「酷い嘘を吐きました」

「否、人の道を踏み外さないでくれたのはお前のお陰だよ」

勝は妻に感謝しました。すると、妻は勝を労う様に云いました、

「どうです、今日くらい一杯」

「ああ、そうしよう」

杯を口元に運ぶが、ふいに杯を置いて笑いました。

「よそう、

夢になっちゃいけねえ

感想

妻の機転と勝の努力によって真の富を得られた人情噺!
スッキリしていて、後味がとても良い噺です!

もし、勝が財布から拾った大金をそのまま得ていたら、本当に打ち首になっていたかもしれません。そうでなくとも、「財布を誰かから取った罪悪感」「金と酒に溺れる怠惰」など、勝は真人間にはなれていなかったでしょう。

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