
怪談噺「もう半分」のご紹介!
あらすじ
ある夫婦が酒屋を営んでいました。そこに60を過ぎた老人が毎晩やって来ました。
「もう半分」といっていつも半分ずつ注文しています。
不思議に思った主人は理由を尋ねると、「そっちの方が飲めるような気がする」と言いました。帰る時に、老人は風呂敷の忘れ物をしてしまいます。主人が中を見るとそこには50両という大金が入っていました。
「まあ」女房はすぐに老人の後を追おうとしました。が、主人が押しとどめ首を横に振りました。…女房も察したようです。
______思い出した老人が帰って来ました。
「ここにあった風呂敷はどこだ?」
「…何のことだか」
主人はシラを切り通しました。すると、老人はとうとう泣き出しました。
「アレは娘が吉原に身を売って拵えてくれた物…無くしてしまったら合わせる顔がない」
…目を逸らしました。トボトボ帰る老人。
流石に良心が痛んだ主人は老人を追いかけます。______
時既に遅し。老人は川に身投げしていたのです。
…それから暫くして、二人の間に子供が生まれました。
白髪頭の、あの老人そっくりの赤ん坊が。
女房はショックのあまり、ポックリあの世に。
主人は50両の金で乳母を雇いましたが、次々と辞めてしまいます。
「なぜ辞めるのだ」と、主人が尋ねると、「直接ご覧になってください」と乳母が言いました。
こうして、夜赤ん坊をふすまから見る事に。
白髪頭の赤ん坊は行燈の油を旨そうに飲み干しました。
その姿は、赤子ではなく、最早酒酔いした爺。主人は思わず飛び出した。
「おのれっ、爺!血迷ったか」
すると赤ん坊は振り返り、茶碗を差し出して言いました
「もう半分」
感想
笑える様なギャグも一切ない、ちょっと風変わりなお噺。
教訓めいた物としては、「嘘を吐くのは良くない」と言ったところでしょうか。