
落語の演目「薬缶」のご紹介!登場人物はたった二人!物知りな隠居といっぱい食わせようとする八五郎の問答形式で進んでいくスピーディーな落語!
あらすじ
「おい!グシャ」
「はい、ところでグシャとは?」
「愚かな者だ。その意味もわからないとは愚か者めっ!」
ブチッ
「…隠居さんはなんでも知ってるんですねえ」
「おうよ、古今東西、森羅万象知らぬものはない!」
「では…」
ここに、八五郎と隠居のバトルが始まる。
「聞きたいことが。魚の名前でございます。“マグロ”はなんで“マグロ”というのです?」
「分かりきったこと。“マックロ”だから“マグロ”だ」
「成程。では、“コチ”は?」
「コチラに向かってくるからだ」
「…向こうに行く事もあるでしょう」
「お前が向こうに回れば良い」
…詭弁じみてきたぞ!!
「では、“ヒラメ”は?」
「平たい所に目がついているからだ」
「じゃあ、カレイは?カレーライスだなんていって日には、ぶん殴りますよ」
「ヒラメの家来で家令をしているから、“カレイ”だ」
「ウナギは?」
「あれはヌルヌルしているから、昔は“ヌル”と言った。ある時、鵜がウナギを丸呑みにした時に難儀した。鵜、難儀、鵜難儀 これが”ウナギ“だ」
「はぁ。では、魚は終わりにしましょう。お次は日用品について、教えてください。”土瓶“は何故”土瓶“というのでしょう」
「それは決まっておるわっ、土で作ったからだ」
「では、茶碗は?」
「置くと”ちゃわん“と動かないからだ」
「では、薬缶は?」
「矢で作られて…」
隠居は流石に口詰まった。
(勝った…
ん?)
隠居は少し考えてこう云った、
「これは昔、水沸かしといった」
「それをいうなら“湯沸かし”でしょう」
「水を沸かして”湯“になる。グシャよ」
(チッ)
「何故、やかんという名前になったのでしょう」
「それはな、川中島の戦いで、夜襲をかけられたある若武者が兜を無くして、代わりに”水沸かし”を付けて戦った。その時に矢が当たって「かん」という音がした。
これが“やかん”じゃ」
「残りの蓋はどうなるのです」
「蓋は面にした、やかんのくちは相手の名乗りを聞く耳代わりだ」
「耳なら両方ありそうだが」
「ない方は寝る方だ」
感想
中々口が達者な隠者!
すっとうきょうな回答ながらも、即決で答えられる見識は大したものです!
最後のサゲ(オチ)は一回聞いただけでは少し分かりづらい。実際にやかんの形を見るが速し!また、他にもやかんを取ると熱気で蒸れて頭髪が抜けてしまって禿げになるパターンもある!
なんじゃそりゃ🤣