【故事成語】鶏鳴狗盗【孟嘗君を救った男達】

「一見、何の役にも立ちそうにない特技」

だが、人生とは不思議だ。

それで命が救われることもあるのだから

鶏鳴狗盗の成り立ちを綴っていきます。

孟嘗君とは

時は紀元前中国戦国時代

斉の国に「田文」という男がいました。後に戦国四君の一人“孟嘗君”と評された男。

王の弟であった、父田嬰は子供が四十人以上おり、絶̶倫̶か̶田文は母の身分も低く、5月5日という不吉だと云われている日に生まれます。

父から“殺せ”と言い渡されるも、母は密かに匿って育てたそうです。

成長した田文は父から何とか認められ、屋敷に住む様になりました。

食客三千人

孟嘗君は父にこう言います、

「血縁関係だけでは家は守れません。有能な人材を集めましょう」

父も首肯き、各地から食客を招き入れます。

武芸の達人、兵法家、料理人などの他にも、“一芸”を持つ者たちも招き入れました。

その中には「盗みが得意な者」「鶏の鳴き真似が出来る者」など一見軽蔑されるような芸を持つ者たちもいました。

集まった食客の数はなんと三千人!

田文は食客達を大切にして、食客達も田文を支えました。

こうして、田文の名声は中華に響きます。

秦からの脱出 鶏鳴狗盗

そんな田文に目をつけたのが秦王.昭襄王。田文を秦に招き、宰相にさせようとしました。

だが、昭襄王は側近の讒言に恐れ田文を暗殺しようとします。

  • 鶏鳴狗盗

それを聞いた田文は秦王の寵姫に助命を乞います。

「ならば、貴方の持つ宝物をくだされば王に頼み込みましょう」

田文はどうしたものかと首を傾げます。その宝物は既に秦王に渡してしまったのです。

その時ある食客が耳打ちします

盗みが得意な男でした。

「あっしに任せてくだせぇ、ヘッヘッヘッ。盗んで来ますぜ。」

その男は見事屋敷から盗み出し、寵姫に渡して、包囲を解かせます!正に「狗盗」!

田文と食客達はすぐに帰国するため夜のうちに脱出して、秦の門、函谷関に辿り着きます。

だが、門は固く閉ざされ“鶏‘が鳴く朝になるまで開かない。追手が来ている!ピンチだ!

その時、ある食客が名乗りを上げた!

「コケコッコーーーーー‼︎!」

その鳴き真似は瓜二つ‼︎それにつられて本物の鶏達も鳴き出した

「コケコッコーーーーー‼︎‼︎🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓」

鳴き声は木霊した!門番は朝だと勘違いして門を開けた。

田文と食客達は函谷関を抜けて、脱出することに成功した!

田文は食客達に言った

「其方たちの働きに感謝するぞ!」

「なんの!あっし達の得意技を披露した、だけでさぁ」

これが

「役に立たない特技を持った、下賤な者」

そして___

「役に立たない特技も使い道はある」

「鶏鳴狗盗」の成り立ちである!

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