初めて中国を統一した男「秦の始皇帝」
その名声、権力は天に轟いた。しかし、余りにも早すぎた統一、厳し過ぎる法。
始皇帝の死後
人心は秦を離れ、各地で反乱が勃発
秦はこの頃、趙高という宦官(男の大事なアレを去勢した)が実質支配していた、秦の名だたる将軍は既に粛清!大ピンチ‼️
そんな国難の最中、国を救うべくが名乗りを上げた男が一人、その男、武官(軍人)ですら無かった。
後に秦帝国、“最後の名将”と言われるその男
名を「章邯」
軍人ですらなく…
誰もがその男を訝しげに見つめた
「(文官に一体何が出来るのか…)」落胆と嘲笑が入り混じった。
趙高は怒鳴りを上げた💢💢💢
「邯!自重せよ❗️お主の口出しする場ではない」
章邯は趙高はじっと見つめた👁👁
そしてゆっくり…落ち着いて口を開いた
「…では誰か、他に名乗りを挙げるものは居りましょうか」辺りを見回した______________
皆顔を臥せ、思った。(俺にふるんじゃない💢
第一そこの宦官が有能な将軍は一通り粛清して、軍を起こせる将軍などいるか…)
皆、沈黙であった。そして
章邯は強く、だが決して声を荒げず言った
「今、秦を救えるのは私しか居りませぬ」
辺りはざわついた、だが堂々と宣言するその心意気に感嘆した者もいた。
趙高は声高々にして言った
「救えねばどうする?お主の命は勿論の事一族皆生かしてはおかぬぞ」
「ええ、勿論承知の事。だが心配は不要です、勝算は既に有る。私は秦を天下統一に導いた名将「白起」、「王翦」の再来と思われよ!」
趙高はその曇り一つない声に少し、たじろいだ。
(知った事か…この男がどうなろうか…。都合が悪くなれば殺せば良い)
「…..良かろう、そなたに軍権を任せる。」
章邯は顔が晴れた。
「有り難く」グッ‼️
秘策
敵(周文)はもう目前まで迫っている、難攻不落と言われた函谷関を抜かれた、秦の都はもう目前だ!ピーーーーーンチ!!!アカーーーーーーン!!!!!
章邯は兵を召集した、だが正規兵だけでは足りない。
章邯はあるところへ向かった、其れは始皇帝の陵墓で重労働を課せられた囚人達だ。その数ざっと20万人。
その労働環境?現代のブラック企業の比でない。
章邯は叫んだ。
「囚人達よ、今からそなた達を放免する!だが条件がある、今、都に賊が向かっている。その者達の首を獲れ、戦功を揚げた者には褒賞を授ける❗️敵の数は10万、半分しかいないぞ!早い者勝ちだ! 私はそなた達を囚人として扱わない❗️秦を救う、兵として私に力を貸してくれ!」
囚人達は、歓喜の雄叫びをあげた。キャー!章邯将軍ーーー抱いてくれーーーーー!!!!
そして、囚人達は死に物狂いで周文軍を攻撃した。勢い凄まじい。
その勢いに押され、周文はついに自決した。
勢いそのままに、他の反乱軍 陳勝、魏咎、田儋を次次に打ち破った。連戦連勝凄まじい👍。
戦勝報告は秦国に齎され、大いに湧いた!
二代目皇帝胡亥は章邯に援軍を送った!d( ̄  ̄)
吉報が矢継ぎ早に齎され皆が喜んでいる中、一人顔色が優れない男がいた、「趙高」であった
武信君の最期
援軍の将は董翳、司馬欣という。偉丈夫だった。
「章邯将軍、貴殿の働きには感服しきりですぞ!共に秦を救いましょうぞ!」
いいともーーーーー!!固く、固く手を結んだ🤝。友情、熱いッ!
だが今度の相手は一筋縄ではいかない。
相手は秦を苦しめた名将「項燕」の血を継ぎ、自らを武信君と称した「項梁」
戦の巧みな項梁は秦軍を次々に撃破。
そして章邯軍と激突した。結果…
章邯軍は敗走した…orz
後退を繰り返す、章邯軍に対して項梁は思った「何だ、思ったより脆いではないか!章邯よ!」
余りにも脆弱な秦軍、快進撃を続ける反乱軍。アカーーーーーーン!!
だが、これは章邯の計略であった。
深入りしすぎた項梁軍。
「今じゃ!夜襲を仕掛けよ‼️」
「なん…だと…?!」
項梁軍は夜襲により、混迷と凄惨を極め、大将でありながらその遺体の人別すら付かなかった。
____そしてその報を聞いて、悲しみ、怒りを抱いた者が一人、後に「西楚の覇王」と評される項羽であった。
名将vs覇王
叔父の戦死を聞き、復讐に燃える項羽
項羽は戦では無類の強さを誇り、他の秦軍を尽く蹴散らしてきた。だがそんな彼も章邯だけは侮る事はできなかった
叔父を殺した敵、と同時に叔父ですら敵わなかった敵でもあるのだ!!
叔父を殺した憎き敵でありながら、その軍略には目を見張る者がある。 項羽自身もそうであるように、項羽は「強い者」が好きであった!
鉅鹿の戦い
項梁を打ち破った章邯。残る敵は「項羽」「張耳」「劉邦」などであり、秦軍にとっては、“粗方の敵は片付いた”のである。
秦から伝法が来た。
「趙の征伐は王離将軍に任ずる」
王離とは嘗ての名将王翦、王賁の血を引く者であり、ボンボン💰💰
章邯は、適任__とは云わないが、「別に問題はない」思った。何故なら戦力差は既に歴然で有り、負ける道理が見つからない。王離に与えられた兵力は30万、圧倒的ではないか、我が軍は!
圧倒的兵力を持って、鉅鹿城を包囲した。
最早陥落は時間の問題で有った…
しかし救援に向かった男がいた、「項羽」であった。無謀とも言える戦い。
だが項羽は勝ったッ!第三部完!
秦軍は項羽、そして楚軍の「武」を前に砕け散った。見るも無残、項羽の大勝であった。
章邯の耳にその報が届いた時、耳を疑った
「楚が…勝ったというのか」
信じられなかった。そりゃそうじゃろ。
立て続けに、報は届く、「楚軍が此方へ向かっております!」
日和見していた反乱軍も合流し、益々勢いを増す楚軍、章邯は幾たびか干戈を交えたが、戦果は乏しくなかった。
章邯は司馬欣を秦の都咸陽に派遣して、援軍を求めた。
「体制を立て直し、項羽と再戦する!決してこの戦い負けてなるものか、この戦に勝てば、秦を守れるのだ!!」
ゆるりゆるりと戦略的撤退を続け、項羽はその防御を崩す事が出来なかった。
功を立てても…
そして、「司馬欣」が咸陽から帰って来た、一人で、それ以上に様子がおかしい、息を切らし、怯えていた。
「ど、どうしたのだ、欣!援軍は…。それより其方、大丈夫か?!」
司馬欣は涙ながらに言った
「章邯将軍…。お疑いなさいますな、私は咸陽に行き目を疑いました、あの忌まわしき宦官、「超高」に一族を抹殺されていたのです。そして私も殺されかけ命辛々逃げて来ました。今、秦国は腐敗しきっております…秦国は我らに援軍を送る気など毛頭ございませぬ。一体我らはどうすればよろしいのでしょう、一体どうすれば…(;ω;)」
章邯は言葉を失った。
功を立てれば殺され、立てなくても殺される。国の為に頑張れば頑張るほど嘲笑われる。__そして思った、痛切に
「私は一体何のために戦って来たのだ。」
立て続けに司馬欣が言った、悲痛な叫びだった。
「章邯将軍、口が裂けてもこんな事は言いたくはなかった…“降伏“なされよ、もう我々に戦う”意味“などありましょうか!」
章邯にとって”降伏“なんと重い言葉なのだ…”秦国“を捨てると言ってるようなものだ。
章邯は目を閉じ、沈黙を続け か細く口を開いた
「…分かった」
この時”秦帝国“は滅亡したと言って良い。
ジェノサイド
降伏の会見の場所は殷墟であった。
章邯は供回りを連れずに殷墟へ入った。既に項羽が座っていた。一目見て章邯は思った「成る程、確かに英気に満ち溢れている。私は…きっと殺されるのだろう」元より覚悟の上であった。
章邯は項羽の前に低頭し、言った。orz
「敗軍の将、章邯が項将軍に拝謁いたします。
項将軍、不躾である事は重々承知、私の命はどうなさろうとかまいませぬ。ただ私と共に戦ってくれた秦兵の命はどうか、どうか、助命して頂きたい。」
項羽にとって章邯は実の叔父を‘殺した”男であった…その場で首を切り落とされても何ら不思議ではない、章邯は思った。
項羽は章邯の肩に手を乗せ、言った
「章邯将軍、表を上げよ」
______?章邯は頭を上げ項羽を見た。
「章邯将軍、私はあなたを尊敬している!あなたの戦いぶりは見事だ!これからは共に戦い、新しい時代を作ろうではないか!!」
清々しいまでの大声であった。
__その言葉を聞き、章邯は思わず涙が溢れ、そして子供のように泣きじゃくった。
一体誰がこんな言葉をかけてくれただろうか。
「項…将軍…」
暗い、そんな日々に、光が差し込んだ、そんな気持ちで一杯だった。
一夜にして
項羽は章邯を「尊敬」していた、その気持ちに嘘偽りなど全くなかった。
是非、重用したい。だが項羽にとって一つ懸念があった。それは章邯が率いていた「秦兵」であった。
秦兵全て合わせれば楚軍より多い、もし反乱でもされたら厄介この上ない。
項羽は思った「殺すか」
その夜、項羽は章邯に内緒で秦兵達に夜襲をかけた。秦兵はパニック状態に陥った。そして走り出した、走った先に崖があるとも知らずに。
秦兵20万は土を被され、一夜にして消えてしまった。
それでも
夜は、明けた。
章邯は目が覚め、幕舎へ向かった。
直ぐにでも兵卒達に項羽との会見を報告したかったに違いない。嬉々した心持ちであった。
「共に…か!共に新しい時代を築く😚」
嬉しかった。苦楽を共にした兵と“新たな時代を築けるのが”
だが幕舎には誰もいなかった。
辺りを見回した、昨夜食べたであろう羹はまだ温かい。
「…?皆どこへ行った?」
そこへ、司馬欣が来た
「おお、欣❗️聞いてくr」司馬欣は章邯の口を遮り、言った。
「章邯将軍…どうやら我々の兵卒達は消えてしまったようだ。」
?言っている意味が判らなかった
「…どういう事だ、欣?」
「章邯将軍…行ってしまったよ…。黄泉の国に。」
狐につままれた🦊そんな気持ちであった。
「欣、はっきり申せ!どういう事だ!」
司馬斤は震えた手で指差した、「あれを見よ」
そこには不自然に積み上げられた土があった。もしや…章邯は掻き分け、顔が出て来た。恐怖に歪んだ悲惨な顔だ。章邯はその顔に見覚えがあった、共に旗を上げた時から共に戦って来た男だと直ぐ分かった。__章邯は全てを察した。
項羽は章邯と共に秦の都咸陽に入った、楚兵は略奪の限りを尽くした。
そして項羽は秦を滅びし、論功行賞で章邯、司馬欣、董翳を秦の土地の“王”にした。
章邯は秦の遺民から恨まれた。後ろ指を刺され、「俺の家族」を見捨てやがって❗️石を投げ付けられる事も有った。
だが章邯は生きた、酒浸りになり魂の抜けた、廃人同然であった。
時代は動く、新たな名将「韓信」によって水攻めにされた、秦の遺民は章邯を助けはしなかった、そして自ら自害して、果てた
個人的に
秦、最後の名将
「章邯将軍」❗️
こういう儚い最期を迎える人物って凄く好き。
項羽が章邯を赦し、涙する場面ありありと目に浮かぶ。惹かれる。エモい。( ; ; )
その後のジェノサイド…ああ 辛い…
項羽と章邯というこの時代の二大名将(ん?韓信…?)が手を組み合ったら劉邦も全く敵わなかった事でしょう。
悲しい哉、項羽が章邯を救う。そんな場面も見てみたかった。歴史が変わっちゃうか笑
宮城谷さん、司馬さんの章邯評が素晴らしいので是非一読どうぞm(__)m